マッキー(原題:Eega)
なるほど、これは面白い映画だ。
S・Sラージャマウリ監督が撮った作品の中でバーフバリ以外の有名な映画「マッキー」を見ました。
ストーリー展開の面白さもさりとて、一番感心したのがハエになったジャニの可愛らしさ。最初は、「ハエのアップとか見たくないよ、気持ち悪い」と思っていたのですが、実際に見たら可愛い!
過度にキャラクター化しているわけでもなく、どちらかと言うと写実的なデザインなのですが、その愛らしい動きと相まって、本当にかわいいんです。
ジャニが悔しがったり喜んだりする感情が良く伝わってくる。CGのハエと人間の役者の合同で主演男優賞を獲ることが出来るのなら、主演男優賞を文句なくジャニにあげます。それぐらい感情豊かに動いています。
まず、それが凄い。
そして、悪役のスティープ社長が文句なく素晴らしい。
バーフバリ伝説誕生で外国からの武器商人の役でも登場されていた役者さんなんですが、その時も素晴らしい存在感と味わいで印象に残る演技でしたが、本作の役は本当に素晴らしい演技でした。
色気あるハンサムなだけに、その悪辣さや残念さ感が倍増するという。そんな下劣で嫌なハンサムがハエのジャニに悩まされる姿はコミカルで面白い。この役無くしてこの作品は絶対に成り立たない。
スティープさんはスティープ社長の役で悪役賞もしくは助演男優賞をいくつか獲られているのですが、それも頷けます。
ヒロイン・ビンドゥを演じたサマンサ・ルス・プラブさん、主人公ジャニの人間時代(?)を演じたナーニさんもそれぞれ良かったです。
サマンサさんはとてもキュートでもただ可愛いだけじゃなく傍から見たらハエに話しかけると言う狂気じみた行動を何の疑問も無く行う役柄を説得力を持って演じていました。
ナーニさんは登場時間が非常に短いにもかかわらず、ジャニという人間がどういう人間であるかを表現し印象に残して後のハエのジャニに観客が人間ジャニを投影させるだけの影響力を持っていました。ナーニさんの演技抜きにハエのジャニは語れないでしょう。
ストーリーとしては怖いところもあります。
ただ人間が殴る蹴る刺す撃つなどして直接的に殺すよりも、虫が人間には見えないところから、あの手この手でヒタヒタと確実に命を狙う展開は結構ホラーに近いです。
自分がスティープ社長だったら狂いそう。
そのあたりも、最後に銃で撃ち殺すような復讐劇と一線を画す要因でしょう。
音楽もとても良くて、その音楽に乗せた最後の最後のシーンはあまりに可愛くて堪りません。もう、最後のあれはオーム・シャンティ・オームのエンディングと同じぐらい秀逸です。是非見てほしい。
かなり面白い映画でしたので、ぜひお時間と都合があれば見ていただきたいです。