SANJU/サンジュ
6月は怒涛のインド(系)映画ラッシュな上に、どれも上映期間が短くてなかなか全部見ることが出来ずにいます。
そんななか、予定が合って見ることが出来たのが「SANJU」でした。
正直、前評判をあまり聞かなかったので、そんなに期待はしないで見たのが本音でしたが見終わって真っ先に思ったのは、
「やりおったな、ツイン…」
でした。見事な審美眼で天晴れでございました。
まず、実話ベースと言う事で話の面白さは手堅いのですが、ミステリー仕立てにもなっていて話に引き込まれます。この辺の脚本作りが実にうまい。大筋の視点を伝記作家にして観客の視点をそちらに誘い、悪友の揺さぶりや親友の誤解などで作家と一緒に動揺したり謎に頭を捻ったりする部分を作ることで作品に観客を参加させる。ややもすれば伝記作品は観客は傍観者になりがちになると思うのですが。
さらに役者が主役はもちろんのこと、皆素晴らしい。
サンジュことサンジャイ・ダット氏を青年期から壮年期まで演じたランビール・カプールの演技力。サンジュを変え、支える親友カムレーシュ役ヴィッキー・コウシャルの迫真の演技。サンジュの父の大きく優しい包容力、母の明るく偉大な愛、サンジュを薬漬けにする悪友のクソ加減…他にも書ききれないぐらい、みんなみんな素晴らしい。
ストーリーもただ、堕ちました、頑張りました、成功しました、ではなく観客に問いかけます。あなたが見ている報道は真実を伝えていますか?と。サンジュの人生を通してそのことを映画は問いかけます。不屈の精神で何度も立ち上がる美談だけではないテーマ性をこの映画は持っている。なるほど、これは広く多くの人々の心に深く印象に残るだろうと思いました。
ちょっと実際のサンジャイ・ダットの事件はどうだったのか興味を持ったので、目の前の板でちょろっと調べたらの日本語記事が1件だけヒットしました。
ツイッターでこのことを呟いたら、BBCアーカイブに記事やインタビューがありますよ、と教えてくださった方がいらっしゃいまして、検索までしましたが…「in English!」と言う事で読むのは挫折しました…とほほほほ。
昔の写真とかも見られたのですが…にてる。映画のサンジュは実物に雰囲気がよく似ている…役者スゲェ。
とにかく、この映画はアタリです。
さすがTWINさんです。いい仕事しています。ほんともう、全幅の信頼を置きますよ。
それにしても衝撃的だったのが収監されたサンジュの牢獄があまりに酷すぎること。日本だったら確実に人権問題になるレベル…。これ、そんなに昔の話じゃないハズなんだけど…。
あと、あのリビング、雨の日どうするんだろう…(どんなリビングかは映画を見てね)。