シークレット・スパースター(原題:Secret Superstar)
アーミル・カーン作品に外れ無しと言った感じですが、本作品もまた、「外れ無し」でした。
というわけでインド映画ラッシュの2019年、先日見てきた映画は「シークレット・スーパースター」です。
ちなみに、公式サイトのあらすじは人によってはほぼネタバレです(笑)
気にしない人は気にしないでしょうけどね。
あと、ウイキペディア先生は完全にネタバレです。
ってことで、ネタバレしない程度の説明しようとなると…難しいんですよね。
ざっくりいうと、歌の大好きな歌手を目指す女の子インシアは母のサポートと愛を受けてその夢を育てていたが、強権的な父に歌うことを禁止されていた。そこで考えた秘策が父にばれないように顔を隠すブルカを着用してYouTubeで自分の歌声を流すことだった。動画をきっかけに彼女は果たして歌手になれるのか?父に奪われる続ける自分の人生を取り戻せるのか?と言った感じでしょうか。
でまあ、私もこの程度の前知識で行ったんですが、インシアと母ナズマの置かれた家庭環境の強烈さに泣くしかなくて、「こんなん聞いてないよ~」ってなりました。ひどい、これはひどい。どれぐらい酷いかはご自身の目で確かめてくださいませ。
しかし、つらい、悲しいだけでなく母と子のつながりや弟の存在、彼氏???のチンタンとのやり取りは心温まるし、中でもアーミル・カーン扮する落ち目の音楽プロデューサーのシャクティ・クマールが奇妙で面白すぎて最高です。
この作品は、アーミル・カーンが出演していることが売りになっていますが、あくまでもインシアが主人公で母ナズマと二人で話を引っ張っています。じゃあ、アーミル・カーンはどこで出てくるんだ?と思ったらガッツリ出てくるのは後半で全体から見た出演の量は思ったより少なかったです。
にもかかわらず、非常にインパクトの強いあくの濃いキャラクターを見事にやり切っていて「アーミルあんま出てないじゃん」と思わせないのは凄い。インパクトとにかくすごいんです。もう、夢に出てくるんじゃないかってほど忘れられない。
インシア、ナズマとシャクティの話における印象のバランスが非常にいい。シャクティに全部持っていかれるということもないのがインシア役のザイラー・ワシームのすごいところです。
いうなれば、ある少女のよくありがちなサクセスストーリーなわけですが、そう、「スター誕生」的なね、そのありきたりになりがちなストーリーを全然飽きさせない発想・脚本と演出は素晴らしい。そして普遍的な問題を盛り込んで観客の心を掴んで話を進めるというのは上手いな、と思いました。
あと、インド的な音楽があまり流れないんですよね。
インシアちゃんはギターで弾き語りの子だから、あんまりリズミカルな曲調はうたわないんですが…その部分をがっつり補うシャクティ・クマール!
いや、もう、演出うますぎですよ、ほんと。涙出るほどウケました。
まだ見ていない方は、気軽に見に行って笑って涙して、がっつり感動してくださいね。